熟年離婚の際、とってもとっても大事だと思ったのは年金分割手続きです。
年金分割手続きをやっているのとやっていないのとでは将来的な年金がめちゃくちゃ変わります。
特に損をするのは扶養(第三号)期間が長かった方です。(パートタイムも含めてご主人の扶養の範囲内で働いていた方)
逆に婚姻期間中夫と同じ位の稼ぎがあった場合、または夫より稼ぎがあった場合は分割手続きをする必要はありません。
今回、妻が扶養のケースを想定して記載しています。立場が逆の場合は読み替えてくださいね。
この記事を書いているのは2023年に50代で実際に熟年離婚した50blogの管理人みも。です。
無事に年金分割手続きをすませ、老後の安心を獲得しました。
年金分割とは?なぜ熟年離婚には年金分割が必須なのか
年金分割の仕組み
年金分割とは、離婚に際して配偶者が受ける年金を、もう一方の配偶者と公平に分ける仕組みです。
ご存知の通り年金は国民年金+厚生年金の2階建て構造になっています。(企業年金とiDecoとかを外してシンプルに考えた場合)
例えば婚姻期間中ずっと専業主婦だった場合、ずっと第3号被保険者となりますが、この間夫(第2号被保険者)には厚生年金分が上乗せされています。
専業主婦の方(パートの方)も夫が安心して働けるよう家庭内労働をしていた訳ですから、夫の厚生年金部分にも貢献しているはずです。
離婚したからと言って、この部分が0になってしまうのはおかしい!
という訳で、年金分割という仕組みを使って、離婚後も婚姻期間中の配偶者の厚生年金については平等に分けましょう。ということになります。
一般的にはほとんどのケースで割合は50%になります。(もめている場合は裁判等で決着がつくので50%にならないこともあります)
なお、婚姻期間中ずっと第3号被保険者だった場合は【3号分割】(自動的に50%適用)、婚姻期間中に第3号被保険者でなかった時期もある場合は【合意分割】(分割割合を合意決定)となります。
熟年離婚で年金分割しなかった場合
何の手続きもしなかった場合、年金分割は適用されません。
具体的な数字を出して確認しましょう!(あくまでもサンプルです)
夫婦の年金 | 年金分割手続きなし | 年金分割5割 |
---|---|---|
夫の月額年金 | 20万円 | 15万円 |
妻の月額年金 | 10万円 | 15万円 |
かなりシンプルなケースですが、離婚しなかった場合二人で月額30万円で暮らすことになりますが、離婚した以上、それぞれの年金でそれぞれが生活することになります。
年金分割手続きをしなかったら毎月5万円も夫よりも少ない支給額で暮らすことになってしまいます。
そんなの許せない!!!!
年金分割手続きの有効期限
合意分割の場合も3号分割の場合も、離婚が成立した日から2年以内に手続きを行う必要があります。
この2年を過ぎると年金分割の手続きを行うことはできないので、離婚が成立したらすぐに行いましょう。
年金分割に必要な手続きと書類など
合意分割・3号分割ともに以下の書類が必要になります。
- 年金分割の申出書
- 年金手帳または基礎年金番号通知書
- 離婚届け受理証明書または離婚届けの記載事項証明書
- 戸籍謄本または戸籍抄本
- 住民票の写し
- 本人確認書類
これに加え、合意分割の場合は【年金分割の合意書】が必要になります。
私の場合はこれは離婚協議書(公証人署名付き)としました。
法的に有効な書類である必要があるので、弁護士や司法書士などを通して作成した方が間違いないです。
自分で作れなくもないとは思いますが、専門家や年金事務所に相談した方が良いと思います。
年金分割合意書
私たち(夫:氏名、妻:氏名)は、以下の内容に合意し、年金分割を申請します。
1.基本情報
- 夫:氏名、住所、生年月日、年金番号
- 妻:氏名、住所、生年月日、年金番号
2.婚姻期間
- 婚姻開始日:YYYY年MM月DD日
- 婚姻終了日:YYYY年MM月DD日
3.分割割合
- 年金分割の割合:夫の年金を〇〇%、妻の年金を〇〇%分割する。
4.合意の趣旨と目的
- 私たちは、互いの年金を公正に分割し、今後の生活を安定させるために、この合意を行います。
夫:氏名
住所:
署名:_______
日付:YYYY年MM月DD日
妻:氏名
住所:
署名:_______
日付:YYYY年MM月DD日
(証人:氏名、住所、署名、日付 – 必要に応じて)
年金分割の手続き
年金分割の手続きについては、上記の必要書類がそろっていれば一人でも大丈夫です。
いまさら一緒に行かなくてもよいのはいいですよね!
まずは近くの年金事務所に予約の電話をします。
この時、軽くヒアリングがあり、以下の点を聞かれました。
- 協議離婚なのか調停離婚なのか
- 合意分割なのか3号分割なのか
私の場合は、協議離婚で公証人役場から分割について記載のある協議離婚合意書(交渉証書抄本)があることをお伝えしました。
必要書類のうち、年金事務所にはないもの(年金手帳・戸籍謄本・交渉証書抄本・マイナンバーカード)を持参するように言われました。
なお、戸籍謄本は現在の戸籍(新しく作った戸籍)ではなく、前の戸籍(夫の戸籍から私が除籍していることが分かる戸籍)が必要です。
戸籍謄本は全部事項必要なので気を付けましょう(省略無)
後は予約した当日に忘れ物がないように、年金事務所に伺って手続きを済ませましょう。
実際の年金分割手続き
持参した書類に不備がないか、本人であるか(マイナンバーカードまたは免許証)で本人確認をします。
その後、今現在(年金分割前)の将来年金支給予定額を出してくれました。(50歳以上だと出してくれます)
これがあると、分割手続き後の金額とビフォーアフターが比較しやすいですよね。
この時点では、分割した後の受給金額を確認することはできません。
手続きが完全に完了してからねんきんネットで確認する必要があります。
誕生日が近い方は分割後に届くねんきん定期便でも確認できますね。
一通り年金額の説明が終わったら必要書類を記入します。
書くところは丁寧に教えていただけるので安心です。
最後に、ねんきんネットのアクセスキーと手続きの受付控えが渡されました。
後は手続き完了のはがきが届いたらねんきんネットにログインして加算された分割分を確認することになります。
ちなみに、手続き完了のハガキは元配偶者にも届きますのでもう放っておいて大丈夫です。
私の場合扶養期間が13年あったため、分割後は月額4万円以上増えました~。
年金分割手続きの注意点
先にもご紹介しましたが、年金分割の手続きには有効期限があります。
離婚成立から2年以内なのでまだ間に合う方は急いで手続きをしましょう!
また、年金分割の処理が終わったのちは、たとえ当事者双方の合意があっても取り消すことはできません。
しっかり確認してから手続きをしましょう。
また、DV被害がある場合など秘密の保持が必要な場合は別途相談ができるようです。
こちらも年金事務所にちゃんと事情を説明して、相手方に送られる通知などに配慮してもらいましょう!
熟年離婚の年金分割まとめ
今回は熟年離婚の際の年金分割の手続き、必要書類、注意点などをご紹介しました。
長年一緒に暮らした夫婦ですから老後にもらえる年金にも平等な権利があります。
遠慮は不要なのでもらえるものはキッチリもらいましょう。
必要な書類さえあれば相手と顔を合わせる必要もないので安心です。
なお、あくまでも私の体験談として実際にあったことを書いていますので、お住まいの地域、事情などによって現状にそぐわないこともあるかと思います。
参考にしていただきつつ、年金事務所や専門家の方にご相談することをおすすめします。