離婚が決まり、夫名義の家に引き続き妻が住む場合、残りの住宅ローンを誰が払うのか、その住宅の名義はどうするのかなど分からないことだらけ。
色んなケースがありますが、実際に私が選んだ方法は妻が新たに住宅ローンを組み、夫へ残債分を住宅ローンで支払い名義を妻に変更するという形でした。
悩んで調べている方も多いので、無事に名義を変更するまでの手順をご紹介したいと思います。
この記事を書いているのは2023年に50代で実際に熟年離婚した50blogの管理人みも。です。
離婚の状況や経済的な問題は人それぞれなので、実際に検討する際は専門家にご相談の上、すすめてくださいね。
私の場合、25年以上の結婚生活が破綻し20年以上家族で暮らした家は、夫が出ていく形で私一人が残ることになりました。(子供たちはすでに独立している、いわゆる熟年離婚)
夫としては家は処分して売却益を財産分与の形で私に残す予定だったようです。
ですが、私が家を手放すことを拒んだため、住宅ローンの引継ぎ&名義変更(夫から妻)で対応することになりました。
ただ、これが簡単なことではありませんでした。
住宅ローンがのこっている家の名義変更はできるのか
「住宅ローンが残っている家の名義変更はできるのか」という点について、答えは「NO」です。
住宅ローンが残っている場合、その家は住宅ローンの担保になっています。
このため、住宅ローンを支払っている人の名義と住宅の名義(所有者)は同じでなければならないのです。
つまり、夫の名義で住宅ローンがある場合、名義変更はできません。
住宅ローンが共同名義の場合、金融機関がOKとすれば片方の名義に変更することも可能です。ただ、支払い義務は双方に残るので後々ややこしいことになります。
この場合もやはり借り換えで住宅ローンの債務者と名義人は単独とした方が良いと言われています。
夫から妻へ住宅ローンを引き継ぐことはできるのか
次に夫から妻へそのまま住宅ローンを引き継ぐことはできるのか、という点についてですが、これも実際は「NO」でした。
金融機関の中には「審査の上、妻に支払い能力があると判断されればローンの名義を引き継ぐことができるところもある」という記事を見つけ、一縷の望みをかけたのですが現在借りている金融機関にはそのような制度がなく、NGとなりました。
そんなに簡単にはいかないようです。
妻は住宅ローンを組めるのか
こうなったら妻が新たに住宅ローンを組み、夫から家を買い取るしかない。
ここで立ちはだかるのは2つの課題です。
- 妻には住宅ローンの返済能力があるのか
- 対象となる物件はどのような方法で入手するのか
まずは①妻に住宅ローン返済の能力があるかどうかが大問題です。
こちらは新たに住宅ローンを組みことになりますから一般的なローン審査と同じハードルをクリアする必要があります。
一般的には安定的な収入があること、勤続年数がある程度あること、などが判断基準になります。
加えて私の場合は熟年離婚ですので、あと何年働くことができるのか(返済することができるのか)もポイントになりました。
幸い、私は正社員でしたし会社の定める定年まではあと10年以上ありました。
残りの住宅ローンもそう多くなかったため、審査をクリアすることができ、無事に新たな住宅ローンを組むことができました。
パートタイムの方、勤続年数が短い方は住宅ローンを組むことは難しいかもしれません。
その場合、お子さんに協力してもらって親子ローンにするなど、別の方法を探す必要があるかもしれません。
ただ、住宅ローンの審査がOKとなったにもかかわらず、「家を夫から買います」と言った途端に「そのようなケースではご融資しかねます」と断られた金融機関もありました。
実際、➁親族間売買というのは非常に難しいようです。
新たな金融機関で新たに住宅ローンを組むことは、一般的な不動産売買を想定しているため複雑なケースには対応できないようです。
できるだけ金利の安いインターネットバンクで融資してもらいたかったのですが、最終的には元々住宅ローンを組んでいた地銀にて、丁寧に対応してもらうことで住宅ローンの借り換えにこぎつけることができました。
若干、金利は高いのですが仕方がありませんでした。
いくつもの金融機関に断られたので心が折れそうになりました。
住宅ローンの借り換えは離婚前か離婚後か
住宅ローンの借り換えは家の売買とセットになります。
親族間売買という方法がかなり難しかったので、私の場合は離婚後に赤の他人として売主(元夫)・買主(元妻)という形で売買を成立させました。
つまり、住宅ローンの借り換えは離婚成立後となります。
必要な書類には離婚が成立した後の戸籍謄本があります。
とはいえ、住宅ローンの借り換えのために急いで離婚を成立させるのはNGだと思います。
熟年離婚の場合、離婚が成立する前にしておきたいことがたくさんあります。
なので、すべての手続きが終わり、これ以上籍を残しておく必要がない!と判断するまでは安易に籍を抜かないように気を付けた方が良いです。
熟年離婚によって妻側が損をしないように、感情に任せて離婚するのはダメですよ。
(勢いで離婚届けを突き付けて損をした友人もいます!)
住宅ローン借り換えと名義変更の手続き
実際の住宅ローンの借り換え実行では売主と買主が双方顔を合わせる必要がありましたが、今回は離婚による手続き。
司法書士さんの配慮により、別で本人確認を済ませ、相席することなく対応できるようにご配慮いただけました。
正直もう元夫の顔も見たくなかったのでこれはとても助かりました。
不動産売買の金額
不動産の購入価格は住宅ローンの残債+必要経費で設定しました。
今回はアンダーローン(相場の売却値>残債)であるため、購入価格の設定はさほど問題になりませんでした。
というより、むしろ売却金額が安すぎることを心配された状態です。(例えば、3000万円相当の価値があると思われる物件を1500万円で売却)
「ま、大丈夫でしょう。」ということで、売主である夫の口座にはほぼ残債分と等しい額が振り込まれ、それにて残債を一括返済。
そして、抵当権を外してもらい、改めて我が家は私のローンの抵当権に設定されました。
不動産売買の手数料
赤の他人として不動産売買をしたため、不動産会社を挟む必要がありました。
こういった手続きは銀行では何もしてくれないので、不動産屋さんを仲介に頼むのはやむを得ない対応です。
当初は売却するつもりで数社の不動産やさんに見積を依頼していました。
その中から対応が良く、親身になってくれる営業さんのところに仲介を頼んだのです。
どこの不動産屋さんに頼むかで手数料が大きく違ってきますからここは慎重になった方が良いところです。
通常の仲介手数料の上限は以下のように法で定められています。
物件価格(税抜)×3%+6万円+消費税
この手数料は売主にも買主にも発生します。
つまり、私たちのように元夫婦間で売買する場合、合計で物件価格の6%(3%+3%)以上も取られてしまうのです。
これ、本当に額が大きいです。
夫から妻に変更するだけなのに、、、と本当に悲しくなりました。
(夫から妻にと言ったって、元々二人の共有財産ですからね・・・)
ですが、お願いした不動産やさんが良心的な方だったため、合わせて3%(1.5%ずつ)にしていただけたのです。
そのほか諸々以下のような手数料がかかりました。
項目 | 夫側(売主) | 妻側(買主) |
---|---|---|
売買契約書作成費用(印紙代含む) | 1万円 | 1.5万円 |
抵当権抹消/設定費用(司法書士含む) | 2.5万円 | 約30万円 |
住宅ローン繰り上げ返済費用 | 5万円 | ー |
住宅ローン事務手数料 | ー | 約40万円 |
不動産仲介手数料 | 物件価格*1.5%+6万円 | 物件価格*1.5%+6万円 |
手数料として軽自動車が買えるくらいの金額をお支払いしました。残念すぎる・・・
他に必要な手続き
固定資産税
納税通知書が来たタイミングが売買を開始したタイミングだったため、1期分のみ夫が納税済みでした。
その他の3期分は私が払うことで合意していたので別途支払うことになりました。
火災保険の変更
火災保険についてはかなり前に制度が変わり、今は契約期間がかなり短いそうですね。
家を建てた当初(20年以上前)は火災保険は住宅ローンの期間と同様(35年)で設定されていて、すでに一括払い済みになっていました。
最近の火災保険は5年単位であったりかなり金額が高かったりと改めて火災保険に入る場合は負担が大きいものとなります。
幸いなことに私の場合火災保険を名義変更することで一切の追加支払いもなく対応が完了したのでありがたかったです。
こういったことも事前に確認が必要だなと思いました。
太陽光発電の事業者変更
家を建てた1年後に太陽光発電システムを導入していました。
すでに20年近く経過していて、買取金額もほぼないも同然で気にしていなかった太陽光発電ですが、こちらも夫名義(発電事業の事業主となっている)から妻名義に変更する必要があります。
これは国の事業なので国への届け出が必要なんですね。
太陽光発電を設置した業者がすでに連絡不通(倒産したのか?)であり、手続きが複雑すぎてお手上げだったのですが、こちらも不動産やさんが代理で対応してくださいました。
ただし、なかなか面倒な手続きで書類不備で三度も差し戻しがあり、うんざりしました。
住宅ローンが残っている家の名義変更まとめ
いかがでしたか?
実際に熟年離婚を経験し、持ち家を夫から妻に名義変更をした手順をざっくりご紹介しました。
ここにはかなりざっくり書きましたが、これだけのことを済ませるのにかなりの労力と時間を費やしました。
熟年離婚の場合、これまでに夫婦二人で積み上げてきたものが多くて本当に大変です。
私の場合一応、円満離婚(協議離婚)だったので、お互いに必要やり取りができる状態でしたが一切交渉したくないような別れ方をした場合、もっと心労も増すのでしょうね。
離婚のケースは人それぞれで事情もかなり違うと思いますので、私の情報は参考程度にあとは専門の方にきちんと相談に乗ってもらうことが一番かと思います。
頑張りましょう!